この記事では、産婦人科医師監修のもと、妊娠を望んでいる方への正しいタイミングの取り方や、様々な理由でタイミングを取ることが難しい方への対処法をご紹介しています。
監修者情報: 森下 紗織(産婦人科専門医)
産婦人科専門医。(勤務先:Wクリニック)
ピル専門外来をはじめとする、様々な産婦人科医療の現場で活躍中。
さらに女性の悩みをオープンにするために「診察室から飛び出して」女性のお悩みに寄り添う。
四児の母でもあり、育児と仕事を両立しながら、デリケートゾーンケア、性教育、生理の講座などについて、公式LINE、InstagramなどのSNSにて発信中。
妊活のタイミングっていつ?正しいタイミングの取り方
妊活を始めて最初に試す方が多いのが、最も妊娠の可能性が高いと思われる排卵日を予測し、そのタイミングに合わせてに性交渉をもつ方法ではないでしょうか。タイミングを取る方法として、まずは基礎体温を計ることから始めるのが一般的です。
このような妊活方法は「タイミング法」と呼ばれることもありますが、「タイミング法」とは正確には、病院で医師が超音波検査・ホルモン検査等の複数の検査を通して排卵日を予測する「タイミング療法」のことで、不妊治療の1つです。
とは言っても、妊活を始めてすぐに病院へ行くのは費用面や精神面で難しい場合も多いですよね。まずはご自身で取り組める方法をご紹介していきます。
妊娠しやすいタイミングと性交渉の回数
妊娠するには、排卵日に精子がすぐ近く(卵管内)にいる必要があります。
排卵は一般的に月に1回で、卵子の寿命は約24時間、女性の体内に入った精子の寿命は約72時間です。つまり、排卵後に精子が到着するよりも、排卵前に到着していたほうが妊娠の可能性は高くなります。そのため、排卵日の3日前くらいから、できる限り毎日行うと最も妊娠の可能性が高くなると考えられています。
- 排卵日の約3日前~排卵日
- できるだけ多くの回数
ただ、実際には精子の寿命は、人それぞれ異なります。またそのときの体調によっても異なります。
一般的に精子の寿命は射精から72時間ほどですが、精子の動きが悪い、精子の数が少ない、奇形率が高い精子の場合は、寿命が短いこともあります。排卵日も必ず予測通りになるとは限りません。
そのため、排卵日の約3日前~排卵日にのみ性行為を行うよりは、生理後から2週間くらいは、できる限り多く(2-3日に1回程度)性行為を行ったほうが妊娠の可能性は高まります。
生理後から2週間くらいはできるだけ多く性行為を持つ方が、妊娠の可能性は高まります。
それが難しい方は、排卵日の3日前~排卵日に集中するのが良いでしょう。
排卵日はいつ?計算方法
それでは排卵日はどのように予想すればよいのでしょうか。最近では月経管理アプリを使えば、自動的に排卵日を予測計算されることも多いですが、より正確に予測する方法をいくつかご紹介します。
基礎体温をつける
まずは基礎体温を計ることから始めてみましょう。基礎体温は、寝起き直後の安静な状態の体温のことです。起き上がらず寝たままの状態で舌の下に婦人体温計を入れて測ります。
一般的に、基礎体温は排卵日を境目として高温期と低温期に分かれます。
月経が始まってから排卵日までは「低温期」、排卵日以降は「高温期」となります。
低温期から高温期に変わるタイミングで体温が一段下がる「最低体温日」というものがあり、この日の前後1〜2日の間に排卵が起こります。
排卵日検査薬を使用する
排卵日検査薬は、尿中のLHの変化を捉え、最も妊娠しやすい時期である排卵日を約1~3日前に予測します。基礎体温をつけておいて、予想した排卵日の少し前から検査薬の使用を始めるのがおすすめです。
基礎体温のみだと、高温日になってから排卵があったことに気づくケースもあります。排卵日検査薬は処方箋薬局で購入可能です。
商品の種類によって、排卵日を2-3日前に教えてくれるものから1日前のものまで様々です。排卵が起こる直前には「LHサージ」といって、LHの分泌量が急激に高まるタイミングがあります。
排卵検査薬はこのLHが一定の数値を超えると「陽性反応」となり、排卵日が近いことを知らせます。
ただ排卵検査薬によってLHを検知する感度が異なるため、陽性反応が出るタイミングが異なるのです。
感度の高い排卵日検査薬を使用した方が、チャンスが増えるってことですね♪
より正確に知りたい場合はクリニックを受診する
排卵日は体調によっても左右され、完璧な予測は難しいです。生理不順の方は、さらに予測が難しいのであまりおすすめできません。
クリニックでは不妊治療の1つとして「タイミング法」があり、医師が超音波検査・ホルモン検査等の複数の検査を通して排卵日を予測します。正確に排卵日を知りたい方や半年以上タイミングを取っても上手くいかない方はクリニックを受診されることをおすすめします。
タイミングが取れない、タイミングが合わなくていらいらする!
忙しい毎日を送っていると、タイミングを合わせるのってとても大変ですよね。
準備をしていても急な仕事が入ってしまったり、体力的にきつかったり。
次のチャンスは1か月後だと思うと焦っていらいらしてしまう方も多いのではないでしょうか。
妊娠のチャンスは排卵日当日以外にもある!
排卵日当日に性行為をしないといけないと思われている方もいらっしゃいますが、排卵日の2-3日前にもチャンスはあります。
精子の寿命は約3日間なので、例えば排卵日の2日前に性行為をすれば、排卵時に精子がいる状態となります。タイミングを取るのが難しい場合は3日間のうちどこか1日ですればいいと考えてみてはいかがでしょうか。
もちろん排卵日前は毎日性行為をした方が妊娠の確率は高まりますが、それでプレッシャーを感じてしまうなら逆効果です。
できるだけストレスを感じない方法を夫婦で見つけてみてくださいね。
シリンジ法なら、セックスしなくても妊活できる
それでも、妊娠の可能性が高い期間は毎日タイミング法を取りたい!排卵日は逃したくない!という方もいらっしゃいますよね。
そんな方におすすめなのが性行為をする必要のないシリンジ法です。
- 3日の内1日のみシリンジ法にする
- 仕事で遅くなる日はシリンジ法にする
- シリンジ法メインで体力、精神的に余裕のあるときのみ性行為をする
など、2人の状態に合わせて柔軟に取り入れてみましょう。
男性側がプレッシャーを感じて上手くいかなかったというときにもシリンジ法が使えると安心ですね。
人に言いづらいお悩み、クリニックを受診するのに抵抗がある方はPIBOLA.へ
この記事が少しでも皆様の妊活のお役に立てると嬉しいです。妊活を始めて困ったことが出てきましたら、フェムテックエキスパート所属のPIBOLA.へお気軽にご連絡くださいね。
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