【医師監修】生理で情緒不安定になる人の原因と対策・治し方 PMS PMDD
月経のある女性なら、生理前や生理中・排卵前後に情緒が不安定になった経験がある人は多いのではないでしょうか?
この記事では、産婦人科専門医の監修のもとその症状の原因と対処方法について正しい知識をお伝えしています。
監修者情報: 森下 紗織(産婦人科専門医)
監修者情報:森下 紗織(産婦人科専門医)
産婦人科専門医。(勤務先:Wクリニック)
ピル専門外来をはじめとする、様々な産婦人科医療の現場で活躍中。
さらに女性の悩みをオープンにするために「診察室から飛び出して」女性のお悩みに寄り添う。
四児の母でもあり、育児と仕事を両立しながら、デリケートゾーンケア、性教育、生理の講座などについて、公式LINE、InstagramなどのSNSにて発信中。
月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)
生理前の3~10日間続き、生理開始とともに消失する身体的・精神的な特有の症状には、「月経前症候群・PMS(Pre-menstrual Syndromeの略)」や「月経前不快気分障害・PMDD(Pre-menstrual Dysphoric Disorderの略)」といった名前がついています。
PMSという言葉を耳にする機会は増えているため、知っているという方も多いかもしれませんね。
ここからはそれぞれの症状の特徴を解説していきます。
PMS・PMDDの主な症状と原因
PMS(月経前症候群)の主な症状
PMSの主な症状は精神神経症状、自律神経症状、身体的症状が見られ、具体的には次のような症状が挙げられます。
これらの症状が月経前の期間(おおよそ3日~10日間)に現れることが多いことから、「月経前症候群」と呼ばれています。
PMDD(月経前不快気分障害)の主な症状
次に、PMDDの主な症状は、次の通り。
主に月経の前に上記のような精神的に重大な症状が出る場合に、「月経前不快気分障害」と判断されます。
婦人科での診断も可能ですが、精神障害の治療という点においては心療内科や精神科などの専門医の受診をすすめられることもあります。
PMS・PMDDの原因には女性ホルモンが関わっている
PMSやPMDDについて、はっきりとした原因はわかっていないようです。
原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく多くの要因から起こるといわれています。
公益社団法人 日本産科婦人科学会 (jsog.or.jp)
PMS・PMDDで情緒不安定に。いらいら・泣きたいときの対処方法3選
「仕事で小さなミスが増える」「人間関係を壊すほどの衝動的な感情の昂ぶりに悩まされている」など自分がPMSやPMDDの症状に当てはまるという方に、特に情緒不安定なタイミングでの対処方法をお伝えします。
精神的ストレスをコントロールする
泣きたくなったら思い切り泣く
涙を流すということは、自律神経の副交感神経を優位にする方法として非常に有効な手段です。
副交感神経が優位になることによって、湯船につかっているときや睡眠中と同じようなリラックス効果が得られます。
「泣いたらすっきりした」というのは、感覚的なものだけではなく裏付けがある現象なんですね。
生理の前になぜか悲しい気分になる、勝手に涙が出てコントロールが効かない、というときは身体がリラックスすることを求めているのかもしれません。
そんなときは思いっきり泣きましょう!
身近な人に話を聞いてもらう
PMSやPMDDの悩みを他人に打ち明けるのは少し勇気がいることかもしれません。
特にPMDDのような精神状態に重大な影響を及ぼす症状がある場合、同じような症状に悩んだことのない人が理解するには、時間がかかるということもあるでしょう。
それでも大切な人と良い人間関係を築いていくために、PMSやPMDDによる望まないトラブルを少しでも避けていきたいですよね。
勇気を出して話してみると、寄り添ってくれる味方がそばにいるかもしれませんよ。
カフェインを抑える・ノンカフェインのハーブティーで落ち着かせる
ハーブには種類によってさまざまな効果があり、リラックスしたいとき、リフレッシュしたいとき、消化を促進したいとき、集中したいとき…など、タイミングや体調、体質に合わせて選べるのがいいところですよね。
体調への影響を鑑みると、月経前はカフェインを控えることもおすすめしたいので、そんなときはノンカフェインのハーブティーなどを選びましょう。
PMSやPMDDでリラックスしたいときにはおすすめです。
生活習慣を見直す
ついつい、仕事やプライベート、家庭、育児、家事などに追われて、生活習慣が乱れた日々を送りがちになっていませんか?
PMSやPMDDに関係なく、心と身体の健康を正常に保つためにも、基本となる生活習慣を見直すことが大切ですね。
睡眠
ひとによって、十分な睡眠時間というのはさまざまですが、寝起きの爽快感を一つの目安にしましょう。
また、睡眠時間だけでなく睡眠の質も関わってきますので、寝具を見直したり、部屋の明るさ、温度や湿度なども見直してみてもよいでしょう。
食事
食事でも、PMSやPMDDを軽減させる工夫ができます。
カルシウムやマグネシウムを積極的に摂取することがよいとされ、カフェイン・アルコール・喫煙は控えたほうがよいといわれています。(参考元:公益財団法人日本産科婦人科学会)
カルシウムを多く含む食材は、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類や海藻などがあります。
マグネシウムを多く含む食材は、精製していない穀類(玄米、全粒粉小麦など)、植物性のたんぱく質(大豆製食品、豆腐、納豆、枝豆、ほうれん草など)、粗塩などがあります。
カフェインを多く含む食材は、コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどがあります。
婦人科・心療内科・精神科を受診する
あまりにもつらい悩みは思い切って婦人科医に相談してみるというのも、一つの解決策になるでしょう。
低用量ピルを処方してもらう
低用量ピルでホルモンのバランスを整えることでPMSやPMDDが軽くなったという声もあります。
ただし、生活習慣(喫煙など)や年齢、既往症などの条件によってはピルの服用をお勧めできない方もいますのでご自身で判断せずに婦人科を受診して、お医者様と一緒に慎重に選びましょう。
漢方薬を処方してもらう
またピルを飲むのは副作用が怖いという方は、漢方薬を処方してもらうこともできます。
漢方薬は東洋医学をもとにした薬で、体力や気力に合わせて処方されるため一概に万人に効くとは言えませんが、女性のお悩みに合わせた漢方薬を一部ご紹介します。
万が一、医師に処方されて服用した後に副作用が起こった場合は、無理な服用はやめて再度相談してみられることをおすすめします。
PMDDは心療内科・精神科を受診してみる
PMDDの場合は精神科受診もおすすめです。
ただし、いきなり心療内科や精神科を受診するのは抵抗があるという方は、まずは婦人科受診してみましょう。
先生に症状を診てもらってから、どのような治療をするのが最適かを提案してもらいましょう。
その過程で心療内科や精神科を紹介されることがあるかもしれませんが、専門医による治療を受けることで楽になれるかもしれません。
【まとめ】フェムテックエキスパート所属のPIBOLA.にご相談ください
PMSやPMDDのような症状にお悩みで、「身近な人への相談はしづらい…」「婦人科や心療内科を受診するのはハードルが高い…」といった思いを抱えておられる方は、フェムテックエキスパートの所属するPIBOLA.でもご相談いただけます。
一日でも早くお悩みから楽になれるようPIBOLA.は寄り添いますので、一人で抱え込まずにお気軽にご連絡くださいね。
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